厨食CLUB / 師父亮ESSAY / 第12回 三不粘(サンプウチャン)

師父亮ESSAY

三不粘(サンプウチャン)

同和居飯庄


同和居飯庄の三不粘

同和居飯庄と豊沢園は山東料理のお店として有名です。銀座アスターのころは料理の勉強で毎年北京へ来ていましたので、必ずこのお店へ行きました。特に同和居飯庄での研修後、私が得意料理にしたものがありまして、本場中国はもちろん、日本でもそんなに作られることがない、三不粘「サンプウチャン」という甘い料理です。これは古い料理で昔から続いていて同和居飯庄の名物料理でもあります。

「三つに粘らない」とは、「箸にも皿にも歯にもくっつかない」というものです。レンゲでとると「ぷっちん」って切れる、ういろうのような食感です。

三不粘とは

甘いのですが、デザートではありません。だからといって主食やメインディッシュでもありません。北京の研修でいただいた時はコース料理の1つでした。前菜から始まっていろいろ料理が出そろったあとに、この三不粘。その後、麺類やご飯もので最後に点心やデザートが出てきます。

三不粘
増井作の三不粘

材料はシンプル、手順も簡単。けれども手間かかるし技術や慣れが必要ですから、中国でも日本でもそんなにお店のメニューで見ることはありませんよね。

なぜかというと、コックが1つの料理で15分手が離せなくなります。15分「蒸す」という作業なら楽ですけど、鍋に付きっきりになります。最初が肝心で、全体が固まり始めて寄せるまでの5分くらい。あとは固まりだしたらおたま底の丸さを使ってパァーンと返していきます。そうすると鍋の中で回っていくんですけどね。軽く、ポンポンポンと。それらが技術なんでしょうね。しばらくすると卵の黄色から、飴色がかってきた黄色に変わっていきます。焼けていくと、砂糖と混ざってカラメル化してくるんですね。そうすると皿に盛ったとき綺麗に色がぐっと映えます。

銀座アスター時代、山東名菜席という山東料理の会で三不粘を出したことがありますが、大変でした。例えば10卓のテーブルがあれば、一斉に5、6人のコックさんで作らなければ、出来上がり一緒になりませんものね。ですから、コックさんだってみんな同じ腕ではないので、全部1皿ずつ出来上がりが違いましたね。

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