厨食CLUB / 師父亮ESSAY / 第7回 広州交易会

師父亮ESSAY

広州交易会

中国 広州へ

はじめて広州へ行ったのは昭和52,3年頃、広州交易会のためでした。広州交易会とは、東方賓館というホテルの前に大きな会場があり、そこで年2回春と秋に催される中国で最大の商談会です。交易会が行われている間は専務ら上司とともにその商談と有名店を食べ歩く、というのが仕事でした。香港・中国研修とは別で年2回、20日間くらいの出張です。
 香港を経由するほうが会社のマンションに荷物も置けますし出入国もまだまだ楽でしたので、会社で申請しておいて、香港のホテルで手続きをします。専務が団長、総勢8人。国賓待遇の証明となるリボンやIDカードがないと会場に入れませんし、中国国内をスムーズに移動できません。手続き後、九龍と広州を結ぶ九広鉄道で広州へ。

大商談会

ホテルは会場の目の前の東方賓館。8人で二人ずつ4部屋、私はまだ若かったので専務と同室でした。朝は5時半に起床、専務を起こしたり風呂を入れたり洗濯をしたり・・・。6時半にロビーに集合して、タクシーで市場見学です。8時に帰ってきて今度はレストランで朝食。10時に交易会がオープンしますからそれまでに会場へ。

商談の内容というのは、昔は規制があったので今ほど中国から輸入ができませんでしたから鶏肉や野菜の買い付けです。絹さや、グリンピース、ガチョウ、アヒル、スープ用の肉。それから家具。お店の特別室や個室用のテーブルや椅子、絵画、調度品、ヒスイや玉(ぎょく)の置物。美術品ではなく、たくさん必要となる絵は美術学校の生徒たちに描かせるらしく、頼むと期限までに大量に用意してくれました。
 ソファの中央には専務、両脇に計算機を持った私たち若者を従え8人がずらっと並びます。向かいのテーブルに商社の担当者が品物をかわるがわる持ってきます。いいな、というものがあると「いくら?」と聞き、相手が中国語で返事をしますから私たちが日本円で答えます。それらを上司たちは手を払いながら「要」「不要」と次々に決定していくんです。総額いくらになった?って聞きながら。

広州のレストラン

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商談は午前中に終わらせて、11時半ごろからレストランへ行きます。大体昼食のコースで5,60品ありました。朝食のおかゆのコースでも3、40品ですよ。それをひとつずつ全部食べますから、朝食分がまだおなかに残っています。いくら飲み込んでも入っていかないので、飛び跳ねて詰めて、流し込んで・・・。さらに私たち若手3人は料理の内容を書いて味をみて写真を撮らなければなりません。その後1時間ほど料理長にレクチャーをしてもらったり調理場を見学させてもらったり。さすがに疲れますから夕方までホテルで休憩しますけど、みんなおなかいっぱいで床に転がって寝るだけですよね。
 夕方6時にロビーに集合、今度は夕食です。商談が成立したときは担当者たちとパーティになります。みなさん広東省のお役人ですからお酒が強い・・・乾杯、乾杯と続いて大変です。それでもこの期間は毎日同じことの繰り返しです。翌朝、また風呂を入れて洗濯して商談会・・・体壊れますよ。

当時よくいった広州のレストランをいくつかご紹介します。

  • 広州酒家:広東料理で豚の丸焼きなどの焼き物が得意
  • 蛇餐館:蛇の料理
  • 南園・北園:広東料理
  • 大同酒家:街中の店。ふかひれが有名
  • 聴雨軒:越秀公園(広州は別名「羊城」といい、羊の伝説が残る公園)の中にあるお店
  • 拌渓(バンケイ):点心、飲茶の有名なお店。料理長が政府の要人であり料理人
  • 野味香:サル、たぬき、アルマジロ、犬、猫・・・野生の動物の料理

広州料理で今でも強烈に覚えているのは蛇料理です。まず、たくさんの種類の蛇から食べたい蛇を選びます。そのときは黄色い蛇でした。生きてるうちに肝を出し酒に溶いて「肝酒」を飲むんです。これは苦いですよ。次に料理が出てきますが、お皿の上に黄色い蛇が鎌首を上げて尻尾のほうはとぐろを巻いて、中にえびのすり身の入ったものが前菜として・・・見るからに食欲がなくなりますよね。

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鍋の中は蛇

蛇は冬眠に入る前の秋が一番おいしいとされています。広東料理屋にいくと、秋から冬にかけて必ず「龍虎鳳大会」というメニューが出ます。龍は蛇、虎は猫、鳳は鶏、それらを細切りにしたスープです。蛇料理のときは必ず菊の花びらと細切りにしたレモンの葉がついてきます。それをスープに入れながら食べるんです。 レモンの葉はにおい消し、菊の花は毒消しです。中国や香港へ行って、黙っていてもスープに菊の花とレモンの葉の細切りが一緒に出てきたら、蛇だな、って分かります。

日本でも中国で生肉の冷凍を買ってきて蛇の料理をやりましたけど、レモンの葉っぱを手に入れるのが大変でした。たまたま上司の家の庭にレモンの木がありましたから、料理に蛇を入れるときはいつもそこで葉っぱをもらってきていましたね。

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