厨食CLUB / 師父亮ESSAY / 第3回 恩師の言葉

師父亮ESSAY

恩師の言葉

水に優るスープは無し

最初の香港研修では午後から料理学校へ通いました。この料理学校では、私たち二人のほかに香港の人たち30人ほどが授業を受けていました。すると先生が、日本から来たんだから一番前に座りなさいと勧めてくれました。授業は中国語ですけどテキストがありましたから、必死でメモを取りました。
 また、特別講座もありました。テキスト以外の料理を教わる時はどんな料理でも1品150香港ドル。個人授業のような感じで、私たち以外の生徒はいません。私たちは子豚の丸焼き、鴨の丸焼き、琵琶の形をしたピーパーヤ(琵琶鴨)という焼き方を教わりました。料理が出来上がると、それはあなたたちのものだから全部食べて帰りなさいと言われるんです。豚も鴨もありましたし、二人で食べるには大変な量でしたから、残すともったいないので持って帰ってお粥にしたりしてましたね。

授業の中で先生が使うスープというと全部「水」です。料理教室でスープ(鶏ガラスープ等)を使わないんですよね。 疑問に思い聞いてみると、「水はなんにでも応用が利く。水に優るスープはない。」とおっしゃるのです。 中国料理は水がとても重要だということです。水に鳥を入れれば鳥の味になるし、どんな水でも水蒸気になれば綺麗です。「水に優るスープは無し」、この言葉は今でも自分の中にずっと生きてます。

帰国した後、いろいろな料理情報誌を読んでいると、その料理教室の先生の記事が掲載されていました。すごい先生だったんだなって、後からわかったんですけど。日本で教わった中国料理とは切ったり炒めたりは同じでしたが、料理に対する考え方は違いました。「料理にはすべて理論があります」といわれても当時はなかなか理解できませんでしたね。また、このスクールからは多くの人が有名なレストランのコックになっていったようです。

厨房での様子

初めての研修先であるランプハウスや双囍(そうき)の厨房での様子です。「これは何ですか?」と片言の中国語で聞くと、この写真のように紙に書いてくれます。もちろん自分でもメモは取るのですが、材料は書いてもらった方がわかります。香港と日本で材料が違っては大変と思い、帰ってからも探せるように全部控えました。実際は特別なものを使ってはいませんでしたけど、研修中は必死でしたから。
 写真はメモ代わりに撮っていました。持っているフィルムはすべて料理。なにしろ勉強で来てますので、食事に行っても厨房に入っても・・・自分たちの写ったものはほとんどないですね。

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